香川県高松市で「次世代の観光資源」を探るワーケーションを実施 〜令和7年度 港区連携自治体ワーケーション促進事業の実施報告〜

株式会社アスエクは、令和7年度 港区連携自治体ワーケーション促進事業の一環として、2025年12月10日から12日の3日間、香川県高松市にてワーケーションを実施しました。 

本事業では、社員のウェルビーイング向上を図るとともに、リジェネラティブツーリズムを推進する旅行会社としての知見を活かし、高松市の観光資源の視察や地域事業者・行政との対話を通じた、新しい働き方・旅の形を模索しました。


1日目:観光振興の最前線と伝統文化の深掘り

2025年12月10日(水)、東京より香川県高松市へ移動し、本事業を開始しました。

初日は、都市再開発の成功事例の視察、伝統工芸家へのインタビュー、および行政への取材を通じ、高松市の観光ポテンシャルと課題を多角的に調査しました。


1. 商店街再開発の視察:高松丸亀町商店街



商店街再開発の成功事例として知られる「高松丸亀町商店街」を訪問しました。独自のエリアマネジメント手法により、活気ある都市機能と商業空間が共存している現場を確認。

また、今後のリモートワーク拠点としての活用の可能性についても検討を行いました。


2. 伝統工芸の観光資源化:漆芸家・松本光太氏へのインタビュー



漆芸家・松本光太氏を訪ね、伝統工芸を現代の観光コンテンツへと昇華させる可能性について議論しました。

  • 伝統の革新:庵治石の粉を用いた「石粉(いしこ)シリーズ」など、地域の異素材を組み合わせた新しい漆芸の表現について伺いました。

  • 観光への展開:質の高い文化体験を求める旅行層に対し、工芸制作のストーリーやワークショップが強力な訴求力を持つことを確認しました。


3. 行政との意見交換:高松市役所 取材



高松市役所を訪問し、「観光」をテーマとした取材を実施しました。


  • 市の戦略:高松市の今後の観光戦略や、官民連携による地域振興の方向性について意見交換を行いました。

  • 専門的知見の共有:歴史資料館での学芸員経験を持つ職員の方より、高松の歴史・文化資産の深掘りによる観光振興の可能性について、専門的な見地からの助言をいただきました。

初日の調査を通じて、高松市が持つ「高度な都市機能」と「深い伝統文化」の融合が、次世代の観光・ワーケーションにおける大きな強みであることを再確認しました。 


2日目:地域交流によるコンテンツ発掘とリジェネラティブ・ツーリズムの検討

2日目は、都市機能の活用と地域コミュニティへの深い没入をテーマに活動しました。


1. ワークスタイルの実践:市内拠点での個人ワーク

午前中は、高松市内のワーク拠点を活用し、個人ワークを実施しました。

  • ドロップイン拠点の充実:高松市内にはドロップイン(一時利用)が可能なワーク施設が数多く整備されており、都市部からのアクセスも非常に良好です。

  • 海を感じる開放的なワーク環境:瀬戸内海を間近に感じられるロケーションと、高度な通信環境が両立された空間での業務を体験しました。

美しい海景を眺めながらの仕事は、法人向けワーケーションの目的地としての魅力に加え、社員のウェルビーイング向上に大きく寄与することを実体験しました。





2. 地域没入型フィールドワーク:街歩きと住民交流

午後は、高松市内の街歩きを実施し、地域住民との直接的な交流を行いました。


  • 地域資源の再発見:住民との対話を通じ、ガイドブックには載っていない生活文化や、地域に根差した歴史的背景(桃太郎伝説の伝承や石材産業の歴史など)を直接伺い、コンテンツとしての深掘りを行いました。


  • リジェネラティブ・ツーリズムの可能性:単に消費される観光ではなく、旅を通じて地域の価値を再生・向上させる「リジェネラティブ・ツーリズム」の視点から、地域コミュニティにどう貢献できるかを検討しました。地域の伝統や環境を守りつつ、来訪者がその持続可能性に寄与できる仕組みづくりの必要性を再認識しました。


2日目の活動を通じて、高松市には単なる観光名所の提供に留まらない、地域住民との共生を軸とした「新しい旅」の形を構築する、豊かな土壌があることを確認しました。




3日目:建築・歴史資産の体感と地域資源の再発見

最終日は、高松市のシンボルである屋島を訪れ、現代建築と地域の歴史が融合した最先端の観光拠点を視察しました。


1. 屋島山上拠点施設「やしまーる」の視察



2022年8月にオープンした高松市の施設「やしまーる」を訪問しました。ここは、かつて年間数百万人が訪れた屋島の活気を取り戻すべく建設された、新たなシンボルスポットです。


  • 地域素材「庵治石(あじいし)」の再定義:屋根には地元特産の「庵治石」が約3万枚使用されています。本来、墓石として切り出される石の95%は端材として廃棄されてきましたが、その端材を職人の技術で薄く割り、屋根材として昇華させています。この「捨てられるはずだったものに価値を与える」ストーリーは、リジェネラティブな視点からも非常に強力なコンテンツです。


  • 多様な活用の可能性:施設内のホールは、音楽イベントや講演会、マルシェなど、境界線のない自由な使い方が可能です。実際にイベント時に有料エリアと無料エリアの境界が曖昧になっても、来訪者がその状況を自然に受け入れるという、不思議で豊かな空間価値が生まれています。


  • 歴史とアートの交差点:源平合戦の舞台となった歴史的背景に加え、イサム・ノグチ氏などの巨匠が愛した「石の街」としての文脈が、現代のクリエイターの活動とも深く結びついていることを学びました。


2. ワークスタイルの実践と帰路

午後は再び市内の拠点を活用し、3日間の視察内容の整理を兼ねた個人ワークを実施しました。その後、高松空港および高松駅より各拠点へと帰還しました。




成果と今後の展望

今回の高松市でのワーケーションを通じて、以下の成果を得ることができました。


  • 新規旅行商品の着想:庵治石や漆芸といった伝統工芸のストーリーに深く触れるワークショップなど、具体的な観光コンテンツの芽を見出しました。


  • 官民連携の深化:地域の歴史や文化という「目に見えにくい資産」を民間が正しく理解し、魅力的な旅行商品として再構築する上で、行政が持つ学術的・専門的なバックグラウンドが極めて重要な役割を果たすことを再認識しました。


  • 次世代ワーケーションモデルの確信:都市機能と豊かな自然、そして深い文化体験が近接する高松市は、法人向けワーケーションの有望なデスティネーションであることを再確認しました。


今回の知見を活かし、単なる観光にとどまらない、地域の価値を再生・向上させる「リジェネラティブ・ツーリズム」の具体化に向けた取り組みを推進してまいります。